生活は続く
星野源の話をしよう
また、ビン・缶のごみを出すのを忘れた。家を出てゴミ捨て場を見て気づきました。
わたしの住んでいる地域は、ビン・缶の回収日は隔週になっています。いちど、出し忘れると次のチャンスは再来週。ネクストゴミチャンスの日になると、忘れられたビン・缶たちのことを忘れている。これを繰り返しているから、わたしはいつもひとり暮らしとは思えない量のビン・缶ごみをそうっと出しています。
溜まっていくビンと缶を見るたびやるせない気持ちになります。
もちろん気持ち良いものではないのですが、わたしの部屋のごみ状況を気づいて教えてくれるほかの人もいません。わたしオンリーワン。やるしかないのです。
生活していると、こんなことばかりです。
とってもめんどくさい。
きらきらなInstagramを更新していても、Twitterで面白い呟きを見つけて大草原にいても、お洒落して華やかな街を遊んでいても、生活はわたしたちを放っといてくれません。
家に帰ったら(これは私がメイクをするからだけど)メイクを落としお風呂に入り、朝洗わずに置いてきちゃったお皿とマグカップに飲み残したコーヒーに向き合わなくてはなりません。
ん~、めんどくさい…。
何の話だと思ったあなた、ごめん、ごめんよ。オイオイ前置きから長いんかい、結論から話せよ、という視線を感じます。
星野源はこれを「わかってる」表現の人。
そうなんです。星野源、このことを分かってるんです。
突然名前を出してすみません。わたしは星野源さんのファン*1です。
俳優・音楽家・文筆家として活躍する星野源(以下、敬称略)のこと、みなさんもご存じなのではないでしょうか。
私が星野源のファンな理由は、毎度ながら一言では言い表せません。
でも、ひとつ挙げるとするなら、この「生活感」を分かっているところなのです。
たとえば、文筆家・星野源としてのはじめてのエッセイ集『そして生活はつづく』*2で星野源はまさに生活のめんどくささについて書いています。「苦手な生活をおもしろがろう」というもの。
これは余談なのですが、星野源のエッセイは (対談形式のものをのぞくと) 4つあります。これを出版年順に読んでいくと、彼の言葉の選び方や考え方、文章のまとまり方がどんどん変わっていって、めちゃくちゃ面白いのです。
4つも読むのは大変というあなたには、『よみがえる変態』*3をお勧めします。これは5年前の『蘇える変態』*4の文庫版*5です。彼は二度病床に臥していた時期があるのですが、その前後の星野源が書いた文章です。
今の星野源は文庫化に際し、当時を振り返ってこう言っています。
改めてその文庫化になるってことで読み直してみたんですけど、何て言えばいいんですかね? (中略) 僕が自分を追い詰めてですね、めちゃくちゃ追い詰めていって追い詰めていって最終的に倒れるっていうところがですね、どんどん文章に余裕がなくなっていって切羽詰まっていって。ちょっとどんどんおかしくなっていくっていう。なんかその感じが、当時は「面白く書こう」と思って書いてたんだけど、なんかいま改めて見ると「ああ、おかしくなってきてる」っていうのを客観的に改めて思いました。
(中略)
で、いま僕は明るい歌が多いじゃないですか。で、もしかしたら世間からは「明るい歌を歌う人」って思われてるけど、あの時は本当に毎日、本当に泣きながら、自分をボコボコ殴りながら明るい曲を作ろうと思って書いていて。そういうのも記録されてるんですけど。
そういうところが出てきて「うわあ」って思って。だから本当に必死にあの人が、昔の僕が頑張ってですね、僕にバトンを渡してくれたんだなっていうのを改めて思いました。なので、ぜひ文庫も見ていただきたいと思います。(ラジオ書き起こし文*6)
その通りなんですよ…。この本を読むと、ただの文字の羅列なのに、彼自身が追い込まれて行って、なんとかもっていた糸がプツンと切れて倒れてしまうのが、「わかる」んです。下ネタや笑える話とかも出てくるのですが、病気前後の話はやっぱり命懸けだから、グッと重く、心を動かされる文章だと感じます。
そんな素敵な本がですね、つい先月出版されたから本屋でも見つけやすいし、600円くらいで買えます。そうですね、タピオカくらいです。タピオカ一杯やめれば、ダイエットにもなるし。
ぜひ、読んでみてほしい本です。
余談長い長い!!余談長いよ!星野源の発言めっちゃしっかり引用するし!こんなんファンしか読めん!
ごめんなさい。ちょっと無理ですね。星野源のことになると喋っちゃうんです。今二千字を超えました。こりゃだめだ。
全然「生活感」の話できてなくない?これじゃ伝わらないですよね。歌詞の話とかしたかったのですが、まだエッセイの話ですね。
これはもう、日を改めて明日腰を据えて「生活感」の話に戻ります。
こういうこともあるけど、誰にも咎められないわたしのブログなのでしっかり持ち越します。えへへ。
あなたが今日も自分を傷つけずに眠れますように。大事なことです。おやすみなさい。
「有吉の壁」がとびきり面白くてご機嫌なわたしより、愛をこめて
ふうこ